「森の長城」が日本を救う。列島の海岸線を「命の森」でつなごう!・

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*長く愛されつかい続けられる建築を「生きる建築」と考えています。
ブログ本「生きる建築」
http://www.nonose.jp/about/photo/1333257052t0-file5.pdf

目次
【生きる建築をつくるポイント1.大震災に強い建築にする。】
【生きる建築をつくるポイント2.魅力が持続するデザイン「いき」の建築にする。】
【生きる建築をつくるポイント3.機能更新を受容できる建築にする。】

〈株式会社野々瀬建築都市設計事務所http://www.nonose.jp/

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「森の長城」が日本を救う。列島の海岸線を「命の森」でつなごう!・宮脇 昭著を読んで

『震災ガレキの上に緑の防波堤をつくる。大地震、大津波原発災害に沈むこの国を蘇らせるには、「鎮守の森」を守ってきた先人たちの知恵と、土地本来の木々の力に頼るしか道はありません。』との帯びタイトルを目にして、読むことになった。
昨年の3月11日の東日本大震災以降、三陸海岸の被災地を巡って津波に破壊された建物や町を目の当たりにして、いったい日本の海岸線では、どのように建物を建て、維持し、町をつくって住み続ければいいのだろう?と自問し続けてきました。
津波が来ない高台に移転などという計画案を目にすると、本当にそれでいいのだろうか?漁師さんが海と離れたところに住んで、海という職場に通うという発想には釈然としない。インフラ整備が無い場所に膨大な予算を投下して高台移転などしないで、壊れたインフラを再建して海のそばに安心して住み続けることを考え、実行することこそがやらなければならないことじゃないか?と思っても、さあどうすればいいのかわからなかった。それへの解答を提示した本だと思う。
成る程!と共感したところをご紹介します。
『海岸や河口付近の低地で津波にあったり地震で破壊されたりしたのだったら、高いところへ行けばいいじゃないか。高台に家や工場をつくって対応をすればいい、などと安直に言います。しかし、私たちがこれまで生きてきた歴史を見るときに、日本はもちろんのこと、世界中どこでも、いちばん人口が過密で発展している都市や産業立地は、交通施設はすべて、海岸沿いか河川沿いの低地です。それは、生物生産性が高い潜在自然植生に基づき、また水産資源も豊かであることによっています。同時に、このような沖積低地や段丘は、上流の森から長い時間をかけて流れてきた有機物が豊かな土壌をつくっています。・・特に急斜面の山地の多い日本の国土では、海岸や河川沿いが、いちばん住みやすいところであるためです。したがって、農作物も果樹もあるいは木を植えて森をつくるのも、最も理想的な場所なのです。人間が定住しても、住みやすい場所なのです。今、無理して高いところに限られた予算をたくさんつぎ込んで、住宅公共施設、工場などの職場をつくったとしても、10年、20年たったとき、必ず再び一人下り、二人下り、最終的には企業も行政機関も学校も、さらには病院まで低地に下りてくるはずです。・・・次の氷河期が来るであろうと予測される・・1万年もつような、環境や経済、社会を目指すのです。わたしたちの遺伝子をつなげ、つむいでいく何世代も先の子孫までが、間違いなく生き延びていき、しかもできるだけ豊かな生活を維持できるようにするために。・・・
では、どのように対応するか。まさに「無知は罪悪、知は力なり」です。現在、処置に困って大騒ぎしているのが、いわゆる震災ガレキです。大変な国家予算、国民の税金をつぎこんで、焼いたりどこかにもっていって埋めようとしたりしています。これらは生態学的にいえば、森をつくる地球資源であります。・・・・
従来通りの小手先の対応ではなしに、海岸沿いにガレキを土と混ぜて、南北300?、できればそれ以上の「森の長城」をつくる。・・・ガレキの90%以上は流木や廃材などの泥にまみれた木質性の、一見つかいようのないものです。あるいは家屋の土台などのコンクリートやレンガなどがありますが、じつはこれらはいずれも、森を再生するには、最も豊かでかけがえのない地球資源なのです。これらをできるだけ大きく深い穴を掘って発生した土と混ぜながら、ほっこらとした、できるだけ高いマウンドを築きます。このマウンド全体に、土地本来の潜在自然植生の主木を主に、混群の充満した樹高30〜50?のポット苗を、自然の森の再生システムに沿って、混植・密植していきます。こうして、南北300〜400?の、いのちを守り、地域経済と共生する森をつくる。・・・いうまでもなく、植物の混群は呼吸をしています。土にガレキを混ぜた、酸素が充分にあるマウンドでは、土地本来のタブノキスダジイ、常緑のカシ類の混群は、私たちの調査結果でも4〜6」mも地中深く入り、レンガやコンクリートのガレキw根が抱いて、台風や津波でも倒れません。木質などの有機物は、ゆっくり文分解して森の成長を促進・確実にする養分になります。』(「森の長城」が日本を救う 宮脇昭 から抜粋)

三陸海岸を緑の長城にして千年の復興の基盤をつくるという発想、提案です。実現が望まれます。
この提案は復興だけではなくて、南海地震による被災が確実に発生する南海の海岸線の地域と内陸部にも事前の減災事業として有効でしょう。
現在、南海道の海岸線の町でも日常的に建築廃材が産まれ、その処理には膨大な費用がかかっています。焼却したり埋めたりすることによって生じる広義の環境問題、リサイクルする費用の高額化などの多くの課題があります。南海道の海岸線にも、これらの木質系とコンクリート系の廃材をつかい津波に負けないマウンドをつくり潜在植生の木を植えて「森の堤防」を築くことを進めることを提案したいと思います。それは、実現可能な本当の意味での地域循環の土木事業であり、地域経済と環境を再生することにつながると思います。森から流れる養分で漁場も豊かになることでしょう。海が豊かになることが、地域再生につながると思います。

私も、自分でできることから「鎮守の森」づくりに取り組もうと思います。
事務所の庭で徳島の潜在植生のポット苗を育て、設計して建てる建築物の竣工お祝いとして庭や外構に数本自分で植えさせていただくことからはじめようと考えています。


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