F4 羽田ターミナルはちょっと「いき」じゃない。

F4 羽田ターミナルはちょっと「いき」じゃない。

仕事で、東京はじめ各地に旅することが増えている。
仕事であるが、途中は「観光」で「いき」の建築を探し、考察することができることを楽しみにしてる。
それは自分のデザイン力をリアルに磨ける時でもある。写真だけではなく建築そのものを見ること、体験することが大切だと思う。
一般的にも観光は光を観ることで、自然風物か、建築や町並みを観ることが多い。建築家であるとそれが更に濃密になる。


東京ではほとんど羽田ターミナルを経由する。
都度とおるのが、モノレールやバスや鉄道の乗り場と飛行機の発着出入り口を結ぶ写真の大吹き抜け空間だ。
トップライトから降り注ぐ天空光、光を放ち上下するエレベーター、斜めに動く大小のエスカレーター・・
ターミナル空間を彩る要素は整っている。しかし、何故か、旅の楽しさが漲っていない。
ここには関西国際空港http://www.kansai-airport.or.jp/ターミナルで味わえる旅たちや帰還の楽しさが弱い。
その理由の一つとして「いき」の美学がこの空間には希薄であることを指摘しておきたい。
ダイナミックな空間であるのに、素材は工業製品のホワイトとライトグレーの光沢のある人造石やアルミパネルで単調である。
色も材料も光も明確な区画による二元対比の構成ををとらずに、散漫にぶちまけられている。
もっと旅の理想、旅の心を追及した「いき」を感じさせる二元対比をするべきだったのではないか。
このように「いき」の美学が希薄である構成が、ターミナルが本来持たなくてはならない旅の楽しさを減じている。
だけど羽田だけではない。日本の空港では旅の楽しさを感じさせる空間にあまり出会わない。残念だ。