生け垣

生け垣

私が育った家の塀は槇の垣根でした。その下で陰になる地面にはドクダミなどの草が生えていて、いつも湿りと生命力が感じられたのでした。
槇の葉陰を抜けた風は涼しい感じでしたし、いろんな昆虫もいました。
垣根の下は愉しい遊び場でした。

ある夏の日に槇が抜かれてブロック塀に代わりました。ブロック塀は陽射しを蓄えて熱く、風を遮断し、虫たちも寄りつきません。その時寂しかったことを覚えています。大切な遊び場が消えたのでした。

できるだけ生け垣の家を設計しているのは、生け垣が提供する愉しい遊び場をつくりたいからです。