豊かさの指標

豊かさの指標

正月です。一年の計を描きたいと思います。
そのために、豊かさの指標を考えてみます。
今、東日本大震災福島原発放射線汚染の影響が日本そして徳島を暗くしています。
昨年、岩手の被災地を廻って、壊滅した町を見て津波に破壊される前の街並みの中にあった生活に思いをはせて、
頭が真っ白になるような衝撃を受けました。
人の生とは生活とは何か?あらためて考えさせられ、今も考え続けています。

本年、新たなる大震災を予想する人たちが多くいます。徳島も予想の中にある土地です。
混迷がどこまで広がるのか予測できません。
私も長い人生で、敗戦後の物がない貧しさ、高度成長、オイルショック、不況の時代、バブルの時代、失われた時代など
多様な経験をしてきました。その上で、
こうした混迷の時は、表層的な風潮に流されずに、
古典に親しみ静かに身を処して過ごすのがいいとおもいます。
最近、
吉田兼好の「徒然草」を読んでいます。
人の生、生活とは何かに関わる随想の一文を引用します。
「第123段 豊かさの指標(超約)」です。人の生のありようを的確に描いているとおもいます。
『無駄なことに時間を費す人を指して、愚かなる人とも心得違いの人ともいう。国のため、君主のためにと、やらなくてはならないことは多い。そこに暇などそうそう生まれるはずもない。考えてみるとよい。人としてまずやらなくてはならないことは、第一に食べること、第二に衣服を手に入れること、第三に住まいの確保である。人にとって大事なこととは衣食住、この三つをおいて他にない。飢えることなく、寒さに震えることなく、風雨にさらされることもなく、穏やかに生きることこそ楽しみとなる。 
しかしそうはいっても人である。人である以上、病から逃れることは難しい。病に冒されることの苦しさは、到底耐えがたいものである。したがって、医術の存在を忘れてはならない。先の三つに薬を加え、これら四つを手にすることができないならば、それは貧窮にあるといえる。一つとして欠けることなく手にすることができたなら、それは裕福であるといえよう。』
含蓄のある一文です。
私も衣、食、住、医薬が過不足無くあることが豊かであるとおもいます。
徳島が穏やかに生きることこそ楽しみとする一年でありますように祈ります。