液状化対策を進める

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*長く愛されつかい続けられる建築を「生きる建築」と考えています。
ブログ本「生きる建築」
http://www.nonose.jp/about/photo/1333257052t0-file5.pdf

目次
【生きる建築をつくるポイント1.大震災に強い建築にする。】
【生きる建築をつくるポイント2.魅力が持続するデザイン「いき」の建築にする。】
【生きる建築をつくるポイント3.機能更新を受容できる建築にする。】
 

〈株式会社野々瀬建築都市設計事務所http://www.nonose.jp/

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液状化対策を進める。
地震では液状化による被害が出ています。
東日本大震災でも各地で液状化被害がでています。
建物が傾く被害は深刻です。日本では広範囲な土地が液状化の被害を受けます。
地盤が液状化する可能性がある土地は一定程度明らかにされています。
大地動乱の今、液状化対策が重要です。
ですが、液状化対策には明確な基準などがないのも現状です。
放送局とか、大病院など大規模重要施設では液状化対策がされていますが、工事費増、工期増になることもあり、
中小規模の建築や住宅ではされているケースが少ないのが現状です。
中小規模の建築は支持杭を打ちますが、これだけでは液状化対策には十分ではありません。
住宅では脆弱な地盤の場合に地盤改良をすることが一般的に普及してきていますが、
この地盤改良が、液状化対策と耐震対策に有効な面があるとの指摘もでてきています。
下層の脆弱な地盤が強い地震波を緩やかに減衰させ受け止める免震効果で地震被害を縮減し、
その上の地盤改良した地盤で液状化による被害を縮小するという理論です。
液状化対策をした建築づくりは「生きる建築」づくりに欠かせないと考えています。
積極的に取り組んでいきます。

下記に、吉見吉昭氏の「液状化層を利用した免震設計」という示唆に富む小論をご紹介します。

液状化層を利用した免震設計 
吉見 吉昭
 新潟地震(1964年)で多く見られたような,液状化に起因する建物の沈下・傾斜は当然被害として認識されましたが,一方で建物自体の構造的被害が少なかったことが特徴的でした。さらに阪神淡路大震災(1995年)やトルコ・コジャエリ地震(1999年)でも,液状化が起った場所のほうが,建物の被害や墓石の転倒が少なかったことから,液状化層の“免震効果”が注目されるようになりました。液状化対策としてよく用いられる地盤改良を,液状化の恐れある地層の全深さにわたって適用すれば,建物の沈下量を小さくすることはできますが,その代り構造物の地震応答が大きくなることが,模型実験(右図)や解析によって確かめられています。液状化層が深い場合は,改良深さを制限して工費を節減すると同時に,改良層の下の液状化層を免震装置の“アイソレーター”として利用することによって,構造物の地震応答を軽減できるはずです。このとき問題となる沈下量については,構造物全体をべた基礎に支持させて,不同沈下を軽減できます。以下,実施例を一つ紹介しましょう。

 1846年に造られた鹿児島市の西田橋(写真に示す石造4連アーチ橋)は歴史的建造物として移築保存されていますが,これは2008年1月に放映が始まったNHK大河ドラマ篤姫”の天璋院も渡ったと言われています。移築先には地震時に液状化する恐れがある19メートルの厚さの地層があります。石橋のような組積造(そせきぞう)構造物は耐震補強が難しく,かつ橋の上または付近の不特定多数の観光客への強震の影響を考慮しなければならないので,加速度応答を減らすことが重要です。また建物と違って,多少の不同沈下は問題になららないという特徴もあります。改良深さをいろいろに変えた場合について解析1)を行った結果,橋全体を1枚の鉄筋コンクリート版に載せ,その直下の地盤の上部9メートル(図の“改良領域”に相当)を改良し,その下を液状化層として残す案が採用されました2)。こうすることによって,橋の上での地震加速度を低くおさえ,沈下量を許容できる範囲におさえる他に,工事費を節減することができました。

1. 福武毅芳ほか:西田橋基礎の地震応答シミュレーション―沖積地盤上の石造アーチ橋の移設計画―,第18回土木史研究発表会,1998,395~410
2. 吉見吉昭・福武毅芳:地盤液状化の物理と評価・対策技術,技報堂,2005,290~298